憧れのウンム・クルスーム

発表会を写真で振り返っていきます。

Lissa Fakir (Do you still remember?)  (Yasmin振付)

アラブ音楽界の不世出のスーパースター、ウンム・クルスーム(1898-1975)の名曲です。彼女の曲はベリーダンサーさんにとって憧れでもあり、彼女の曲で踊ることは挑戦でもあるように思います。何故かというと本当に特別な存在だから!

どんなに彼女が凄いのか、最近読んだ本(「変わるエジプト、変わらないエジプト」 師岡カリーマ・エルサムニー著 白水社)にわかりやすいエピソードがありました。


クルスームは生前、カイロで月に一度コンサートを開いていたそうです。彼女の歌声を聴くために、この日はアラブ各国から王侯や富豪たちが、時には飛行機をチャーターしてエジプトに駆け付けたのだとか。

そういえば、昔習っていた先生が、「クルスームの曲は怖くて踊れない」と仰ってました。現地の人が彼女に抱く思いの強さ、深さをよくわかっているからこそ、外国人である自分が踊っていいものかどうかためらってしまう、と。

なので、今に至るまで憧れつつも避けていたのだけれども、そうやって避け続けてたら本当にいつまで経っても踊れないよね、踊らないうちに人生終わっちゃうよね、という至極当たり前のことに気付いてしまいました。

Lissa Fakirを選んだのは、メロディーが好きなのと、歌詞そのものに共感できる部分が多かったから。アラブの恋や愛の歌ってドラマチック過ぎて一生懸命妄想しないと入り込めないなって思うことが多々あるけれど、Lissa Fakirは割と等身大で、過去の恋愛に決然と別れを告げるヒロイン像が気高く潔く、しかも温かみまであって好きなのです。(英訳ですが、歌詞に興味がある方はこちらを読んでみてください。)

私にとっては大冒険!
だけど思い切って冒険して良かった、と思います。遠くから眺めるよりもほんの少し、近しく感じられるようになったから。