ベリーダンスの伝承者たち(その1)

前回記事まで、ベリーダンスのルーツについて、私なりに調べたことを書いてきました。

今回からは、ベリーダンスを現代まで伝えてきた人々にスポットを当てたいと思います。

ところで、

ベリーダンスってどんな国で踊られていると思いますか?

有名なところで、エジプト、トルコ。
それから、モロッコやチュニジアといった北アフリカ諸国、ギリシャなどのバルカン諸国、
アラビア半島に、黒海沿岸…

スタイルの違いこそあれ、本当に広範な地域で踊りつがれてきているんですね。

どうしてベリーダンスはこんなにも広い地域で踊られているのでしょう?

そこで登場するのが、旅芸人の部族、ジプシー(ロマとも呼ばれています)です。
ジプシー(ロマ)はインドを起源とする部族と言われています。
定住地を持たず、芸能で身を立て、各地を放浪するアウトサイダー的な存在です。

彼らは西暦1000年頃に北部ラージャスタン地方から部族移動を始め、長い年月を経て北部アフリカ、ヨーロッパにたどり着きました。

ベリーダンスに古典インド舞踊に似た要素(ショルダーシミー、ネックスライド、腰を激しくリズミカルに動かす動作、など)があるのは、インドを故郷とするジプシーが踊りを広めていったからだ、とも言われています。

エジプトに定着したジプシーの一派はガワーズィーと呼ばれ、18世紀末のナポレオンのエジプト遠征の際にヨーロッパ人が初めて目にしたベリーダンスの踊り手として有名です。
(ガワーズィーの踊りがあまりも魅力的だったため、遠征軍の風紀を乱す、という理由で400人あまりのガワーズィーが逮捕されナイル川に放り込まれた、という逸話もあります。)

社会のアウトサイダー的な存在であるジプシー(ロマ)の人たち。

アウトサイダーであるがゆえに、宗教的な、あるいは社会的な規範に縛られずに古くから伝わる芸能を各地に広めることができたんですね。

次の記事では、宮廷世界で活躍したベリーダンサーについて触れてみたいと思います。

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